投入されたヒトに対し、具体的に人事機能によりヨコマネジメントする基本アーキテクチャ:下図を説明します。なお、組織における人事機能とは「投下されたヒトが、その成長を通じ、投下成果である労働生産性及び競争源泉無形資産を最大限に高め、その組織的再生産性を構築すること」と本書で定義します。さらに、全ての人事関連業務はこのように「ライフサイクル:ヨコ8」×「三層モデル:タテ3」=「左図24のマス」に集約でき、右図の組織運営ベクトルの結果に反映することを表しています。つまり、人事の仕事はこのアーキテクチャですべて完結し、後は中身を作り運用するだけです。実際に、弊社で全体業務俯瞰と各業務対応で活用し、さらにはHRテックのソフトベンダーの商品開発会議のベースにするなどで活用しているので、非常に実用的です。
さらに、このモデルはヒトの投下の構造を表していますが、他の経営資源も同様な考え方でマネジメントできると考えています。そして「ⅰライフサイクル概念ⅱ業務MECEⅲ投下成果表示ⅳ組織円運動ⅴデータ起点設計」の5点の特徴を持つヨコのマネジメントが実現します。
まず、全体像を説明します。先ず、左図下方の経営資源「ヒト」の投入を「入社から退職」までの「人事ライフサイクル」という「ⅰライフサイクル概念」でマネジメントします。ライフサイクル化して、時系列での業務マネジメントだけでなく、求心力を高める儀礼論の年中行事・通過儀礼・政治的儀礼の設計も意識します。また何事も、投入時よりも、終了時のマネジメントは難しく、アナログなヒトの「退職」はより顕著なので、丁寧に設計・運用します。
次にその上にあるのが、各ライフサイクルに対して、横断的な人事マネジメント機能が果たす「コア業務・労務・事務」の三層モデルでの具体的な人事関連業務を表します。ライフサイクル概念に三層モデル概念を組み合わせて、人事関連業務として果たすべき機能の網羅性を担保し重複を排除する「ⅱ業務MECE」が完成しています。これにより、人事関連業務は必ずこの8×3=24マスのどこかに存在することになり、そのマス内の業務を構築・更新・実行することが、人事マネジメント機能の具体的内容となります。
また、右図のベクトルは、人事マネジメント機能が果たしたヒトという経営資源の「ⅲ投下成果を表示」しています。左図の業務を行うと、右図の組織状態を表すという関係ですが、ヒトの投下により①顧客価値を最大化し、そのために法人・個人の各ベクトルの②方向を合わせ、結果各人が③成長し、そのために④コミュニケーションを高め、そして⑤適材適所に配置がされている状況を表しています。
また、入社で始まる人事ライフサイクルで最後の退職で矢印のように退出するまで、ヒトは福利厚生から異動改善の間でグルグルと回転運動をします。その中の「教育指導→就業→評価→報酬」が実線になっているように、ここが主たる回転運動で「人事PDCAサイクル」と定義しています。そして、点線である福利厚生や異動改善は人事PDCAサイクルの補完運動を表わしています。よって「ⅳ組織円運動」としてヒトが円滑に組織内で回転し、結果右図で最良の状態になることを目指し、そのために対応する上記24マス業務を構築してきます。
最後に左図最下段に「DB化」とあるのがまさにDX:データ・トランスフォメーション部分を表し、上記24マスの各業務により人事ライフサイクル及び人事PDCAサイクルを円滑に回転するのをデータ起点で支援することを表します。24マスの各業務に対してデータベースの項目を設定して、各業務を「ⅴデータ起点で設計」します。さらに、各データからヒトの動きが計測されるので、各種分析(経営労務監査等)に利用できます。
基本アーキテクチャの活用はさまざまな意味を持ちますが、ヒトという経営資源をライフサイクルでの円運動と見立てられるため、法則性・規則性を発生させデータによるマネジメントが可能となります
運動だからこそ、各サイクルで「どの:Which」「誰が:Who」「いつ:When」「なぜ:Why」「何を:What」「どこ:Where」「どう:How」「いくつ:HowMuch」行ったという6W2Hの動きを各データ項目で定義して、パラメーター設定して、図 一番下にあるデータベース化:DB化で「一元管理」できます。その各項目に対して、主に「事務」は動きのマスタ設定及び記録、「労務」はパラメーターの設定(制限)、「コア業務」で各項目の動きの設計と関連業務実行をするという関係です。
8×3=24人事業務と組織運営結果
タテ軸の定型度「高」「中」「低」区分で「事務」「労務」「コア業務」と上に行くほど定型度が低く、逆に判断・裁量が高い業務という構造になっています。逆に「事務」は基本的に定型業務であり、決まったことを決まった通りすることが評価される業務です。よって、仕事の成果としては、定型業務を納期通り正確に行うことです。本書ではこのような定型的な仕事を「100→100」と表します。つまり、「100の決まった定型的な業務を100」実行することが評価される仕事という意味です。P113図 47の社会保険手続係員や給与計算係員が行う「情報・データ×移動・変形」が主な業務です。
「労務」は法的・社会的な制約の中で行われるので、解釈により広げることはできますが、できることの選択肢がやはり狭まってきます。仕事の成果としては、就業規則等組織ルールの作成・改善と、それを元にした個別の人への対応などになります。数字に当てはめると「50→100」程度のイメージで、50は決まった定型的な方法で対応可能ですが、残り50は会社の方針や法令の解釈等による判断業務というイメージです。この業務の特徴は、必要な労務管理知識が複雑・大量なので、知識不足による判断ミスで、リスクが発生する可能性があることです。よって、社労士や弁護士等の外部専門家のアドバイス・知識活用により、組織的にリスクヘッジをするなどのマネジメントが行われます。図 47の人事部の事例に戻ると、社労士有資格主任等が「労務×採用・福利厚生・就業・報酬・退職」で主に労務を行います。主に「情報・データ×移動・変形」の仕事で、労務問題独自の駆け引きも含め高度な「ヒト×変化」を必要とされます。
「コア業務」とは、企画・開発等の業務になり、ここは自由度が高く各社の独自色が一番強くでるところです。仕事の成果物としては、例えばテレワークを前提とした人事・組織戦略や各制度の立案・改善の業務などとなります。数字にすると「10→100」ぐらいのイメージです。つまり、10ぐらいの指示(説明)に対して、100のアウトプットを出すというイメージです。この層における仕事の成果は、組織運営全体に大きな影響を与えます。よって、組織運営の課題の抽出や目標の立案、組織体制や各種制度の構築に関しては、非常に高いノウハウが必要です。組織決定としてプロジェクトを発足して対応する場合が多く、外部組織・人事コンサルタントのノウハウを購入する等の投資を行います。
今までの日本企業の人事関連従事者は、特に中小企業では、従来「100:事務」と「50:労務」の対応で手一杯で「10:コア業務」指示への対応が不十分と言われます。日常発生する事務や火消対応の労務に追われ、これを避けるための仕組みが、図 63⑨の「時制サイクル(後述図 65)」による円運動で、③の外部の力を借りてエネルギーロス(=企業では利益喪失)が減り実行できます。
つまり、無形固定資産であるノウハウとデータとして事務は100、労務は50、コア業務は10を正しく構築できれば、業務生産性は最大になることを意味します。具体例は後述しますが、例えば事務に素人を採用しても、100のノウハウ・データがあるので、その通りに行えば100の成果が出ることを意味しています。
次に、ヨコ軸の左図下にある人事ライフサイクルを説明いたします。
まず「入社」でヒトの投入から始まり、次にセーフティネットなどの働きやすい環境である「(福利)厚生」を用意します。この2つが前工程です。
次に人事ライフサイクルで中心となる人事PDCAサイクルが回ります。ヒトが働く準備で必要な「教育・指導:P」をし、予定されている仕事に実際「就業:D」してもらい、その働きを「評価:C」します。最後のAct:改善・行為につなげ、これは2つあり、まず「報酬:A」で還元をします。そして必要に応じて(よって点線)、適切なタイミングで「異動[3]:A」で、昇進等で配置したりします。その後、教育・指導や就業のサイクルに戻るというサイクルです(図の下方の逆矢印サイクル)。なお、Pには目標管理制度(MBO)等の目標立案も入りますが、それらも含めて教育・指導して、自らがプラン(予定・目標等:P)を立て、Aで改善していくことになります。そして、最終工程として右端の退職により、ライフサイクルのループから抜けることになります。
基本アーキテクチャとCXの役割
図 基本アーキテクチャの解説の最後に経営的視点として、組織活動を表す右図の①~⑤を説明します。この組織の状況は、単にBX:業務プロセス改革やDX:データ変革だけではなく、CX:組織文化変革(カルチャー・トランスフォーメーション)の影響を受けるので、その点も併せて確認します。
①の「顧客価値」は、企業の組織活動の原点で、継続的に提供し、さらに図のように大きくしていくことが、組織活動継続のための必要条件で、異論のないところです。ドラッカー博士は企業活動の目的は顧客創造と指摘していますが、まずはそれが第一義であることを表しています。これはCXで説明した「社」の中でも一番普遍的な大切にされるものです。
②の「方向」は組織マネジメントの成功の要で、各社非常に苦労するところです[5]。デジタル化がテーマの本書では、ベクトルで方向とその大きさの両方を表しています。活動原点である①に対して、まず、会社ベクトルがそこに向かう方向を示します。それと同時に、この船に乗っている社員各人の活動状況も社員ベクトルで方向・能力として表示されます。その上で、②「方向」のように会社ベクトルと各社員ベクトルを合わせることが重要です。これがまさにCXの「社」の役割であり、船長である社長等経営幹部のリーダーシップにより、ベクトルの方向を常に示す必要があります。また、組織としては、人事の「コア業務」での人事制度構築等を通じて、船の方向、リーダーシップで示される方向に組織として同じ方向に向き、到達できる能力を高めていく設計・運用をすることです。
会社ベクトル中にいる各社員ベクトルと共に顧客価値提供の継続・増大で社会的役割を果たすと同時に、社員ベクトルの存在で雇用創造という役割を果たします。しかし、残念ながら図右側の右下ベクトルのように、会社の方向と真逆に向いている社員がいた場合は、同じ方向を向けるように、左側サイクルの「教育(・指導)」で改善を促し、場合により「異動」を通じて、現場を支援する事になります。ただし、どうしても難しい時は、船から降りてもらうような「退職」を促すこともあります。これらは真ん中の「労務」に当たる、非常にデリケートな業務で、社員の心情や法令をにらみながら行う必要があります(なお、このような労務リスクのあるやりとりも、弊社では顧問弁護士とWeb型n×n連携して、Wikiサイトで案件ごとに、時系列に事実を積み上げて、根拠を示しながら対応しています。)
ベクトルは、②方向とともに③成長の尺度である大きさを示し、各ベクトルを大きくする=③成長するということが、各ヒトへの労働力提供へのリターンで重要です。また、社員ベクトルだけではなく、会社ベクトルも大きくなっていくことも必要です。前述の人事機能と定義で「人の成長」とは、個人も会社組織の法人も意味します。各社がコアとする技術・ノウハウを明確にし、法人も個人もそれを厚くする(=③成長する)ように②方向性も合わせることが肝要です。それらは、人事PDCAサイクルで、左側のP(計画)として教育制度のコア業務で設計して、結果を評価制度でC(評価)することになります(ここで評価シート項目・評価方法が重要になります)。実務的にとても重要で、ある精密機械の部品メーカーで、コアとする技術は「磨く」力と定義しています。よって、「磨き」に関し全クラスに応じた成長目標があります。よって、技術職は当然ですが、事務職でも「磨く」ということに敏感で、世間の磨き情報を社内報で共有するなど、コアの技術・ノウハウでのベクトルが③大きくなり②方向を合致させて、①を最大化しています。
さらにそのベクトルの大きさがKPIである労働生産性を意味します。これらを測り評価する手法が右下の経営労務監査等で、主要指数である労働生産性は1社員あたり1,000万円/年・人が中小企業、大企業目標2,000万円/年・人に近づけることが個人・法人両方での目標にするように弊社顧客に提示しています(その次の目標はそれぞれ100万円/月・人と200万円/月・人です)[6]。個人への意識付けとしてわかりやすいのは、中小企業の目標として年間2,000時間労働とすると、1000万円÷2000時間=5,000円/時の付加価値を生むことです。1時間で5,000円の付加価値を生むというのがベクトルの大きさの目標で、個々人にはわかりやすい②「方向」づけとなります。中小企業は図66のヨコマネジメントは専門家と無形固定資産共有である程度任せ、タテマネジメントで「つくる」「届ける」の各ラインで付加価値を上げれる強みに特化する(=方向づけ)べきです。
いうまでもなく、組織運営では円滑な④コミュニケーションが大事です。各ベクトルの乗組員がお互い、励ましあって、たとえ荒波の中でも、向かう方向を見失わないようにすることが必要です。弊社顧客にはコア業務である評価制度(PDACのC)を月次等の短期で回転することをお勧めしています。何故ならば、月次で勤怠締めで働いた量を計算・承認するので、働いた質としての目標管理評価等をするのは②成長に大きな寄与をします。もちろん簡潔に行う必要がありますが、上司と部下のコミュニケーションの円滑化に寄与しています。環境変化に合わせて、目標管理制度(MBO)の設定目標(P)を適宜変更で改善(A)をするPDCAを回して、右側の①及び④を高めることにつながります(そのためのツールをいわゆるノーコードアプリで開発して配布しています。)
「はじめに」で紹介した対談で、東大大学院松尾教授と全く同意見で「まさにその通りです。実は私の研究室でもAI技術が普及したときに世の中にもたらす変化を一言で表すと何かという議論をしたことがあるのであったのですが、すが、『企業のPDCAサイクルが早くなる』の一言ではないでしょうか。」と筆者の考えに賛同いただきました。
背景としては、欧米での新しい人事制度のあり方として「ノーレーティング:No Rating」という方式が思考錯誤しながら行われていることにあります。人事評価でS~D等の格付=レイティングを、しない=ノーということです。理由としてはレーティング評価をしても労力に見合った効果がないという科学的検証等が出てきたためです。特に、昨今のビジネス環境が激しく変わる中で、期初に設定した目標Pを期末に評価・対策:CAしても効果を得るには遅すぎるとされています[7]。また、そもそもレーティングで格付けするのは社員の動機づけを低下させているという研究結果[8]に基づいています。主にこの2点を改善するのが目的で、つまりP(目標)の適正化と動機付け強化です。「9ブロック」という人事評価システムでMBOレーティング制度のパイオニアである米国GE社が、自らその終焉を宣言した「PD(パフォーマンス・デベロップメント)」という取組が有名ですが、仕事の進捗をモバイルアプリで上司や同僚とコミュニケーションをとることで、この2点の解決をするということです。つまり、「P(目標)の適宜見直し」の意見をもらったり、本人の仕事を見える化で共有できて、「いいね!」のような小さな承認により本人の動機づけ向上につなげるというものです。ただし、まだ道半ばというところです[9]。
最後に、⑤適材適所が、特に上に立つリーダー層(幹部層)に重要です。よって、左側の「異動(A)×コア業務」である、昇格・昇進の判断基準は、原則絶対評価化(リーダー・管理者としての基準に達していない場合は排除する)となり、その基準と運用の判断基準が、逆に右側の組織運営の価値観である②方向をさらに明確にしていきます。さらに、必要に応じて降格・降職をしなければ、昇格・昇進だけでは組織は活性化しません。なかなか、そこまで踏み切る会社がないですが、そのためにも、評価が重要で②方向が重要です。
以上右側の企業活動における①から⑤の組織活動に必須な要素です。どれも必要不可欠ですが、あえて順番をつけるならば①⇒⑤の順番です。あくまでも「あえて」なのですが、理想が先行して、視点が内向きになって「CS(顧客満足)よりもES(社員満足)」を優先する企業での相談で、この図を説明することがあり、観方を変えていただいたことが何度もあります(ただし、役員等のトップ層の人事である⑤は当然優先順位が上がります)。
[1]さらに右下の「経営労務監査」を通して、右図の組織の①~⑤の状態を評価する関係です。本書では当該監査は深く触れませんが、例えば次のような評価が考えられます。 自社で深刻な人手不足に陥っているような場合は、まずは「退職」をデータ化します。社員の離職率の多面分析は、人事基幹業務として離職手続データのデータベースを活用すれば、すぐ抽出できるようになります。簡単で効果がある離職率と入職率の両面での分析は、基礎データが厚労省から発表されていますので、これらのデータとの比較をするとことで、自社の予想外の問題の構造が見えてくることがあります。その他、一人あたりの採用・教育・福利厚生・報酬の予算及び消化状況や、平均の就業の時間、過去の上司・部門の評価の傾向(甘辛)等々、8つの軸を持つことで、比較検討を多面的に行い課題発見に有用です 。よって③データをためるために{事務}の人事関連業務をデジタルツールで処理をして、積極的にデータを発生させることが必要になってきます。
[2] 正確には事業場外労働のみなし労働時間制度を意味します。労働者が業務の全部又は 一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定 が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については 「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です。
[3] 異動は昇進昇格、配置、転勤、コース・職種変更、契約更新等の就業規則に従い報酬以外の内容を変えることを意味します。
[4]有期契約社員と無期契約社員の待遇差は、職務内容並びに当該職務の内容及び配置変更の範囲に関連する事情に限定せず、その他の事情も考慮して決定するべしとする判断により、精勤手当と超過手当(時間外手当)に関してのみ東京高裁の判断を覆して、労働契約法20条に違反とした(H30.6.1)。
[5] ニーチェは「偉大さとは、方向を与えることだ。」として大河も支流の集まりであり、その支流がたどる方向を示すことが大河を大河となす力の源としています。。
[6]①法人が成長するとは、自己資本比率を上げること等です。そのためには内部留保が可能となるように、顧客価値で生まれた付加価値(売上総利益・粗利)ではなく、そこから販管費等の外部支出控除後の利益をマネジメントする必要があります。右側の下にある「経営労務分析」では、その利益は営業利益が妥当と考えています。なぜならば、「労働」によって結果を左右できるのは、通常の営業活動の結果である営業利益までであると考えるからです。人的主義(ヒューマンキャピタル)では、労働者自らが自己の労働を投下するという考えですので、財務関係者等以外の労働者が結果を左右できない経常利益や当期純利益は労働のリターン指数には適さないと考えています。よって、決算賞与等のサイクル「報酬」で使用する評価指数も、関係者以外営業利益までが妥当と考えます。
[7] 「PDCAは古いのでOODA 等へ変わるべき」との論調と同じで、本質的にはPからCAまでの時間が問題になっていることを意味します。OODAとは O:Observation(観察)O:Orientation(方向性の決定)D:Desision/Hypothesis(決断)A:Action(行動)アメリカ軍事戦略家ジョン・ボイド氏提唱で状況に応じて臨機応変に対応するための手法と言われています。
[8]目標管理制度の旗振り役であったアメリカのGE社がNoRatingに移行した背景には、評価により必然的に下位10%が生まれ、退職に追い込まれる異常な状態(スタンフォード大ボブ・サットン教授談:Quartz電子版)で、日本のような解雇規制が厳しい法体系上での評価ではないため、同列で語ることは難しいと考えます。
[9] その結果上司が裁量を持って報酬等を決めるという仕組みですが、上司への負担が大きいのと、上司の力量次第で制度の良し悪しが出るため、まだ試行錯誤の段階と思われます。
※上記は弊社代表の書籍「人事労務DX データによる働き方改革2.0」から抜粋・加工致しました。